名将気取り

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2005年 01月 25日

画餅の憂鬱

 最強の布陣にまたひとつヒビが入った。マジョルカ戦で負傷退場したサムエルは鼻骨骨折だった様子である(参照)。
 TVゲームのような選手の集め方で史上最強の名にアグラをかくレアル・マドリッドだが、その前輪駆動の奇形体質は変わらず。DF陣の力量不足を揶揄され続けて、今季はようやくウッドゲイトとサムエルという2枚の目玉カードを揃えたはずだった。しかし蓋を開けてみれば、二人がそろってピッチに立つ機会は一度としてなく、パボン&メヒアの危なっかしい守備に任せきりという昨年と変わらない様相を呈している。
 怪我で長期離脱のウッドゲイト復帰が待たれる中、始まった後半戦で早くもサムエルにも黄信号。長く響く故障ではないかも知れないが、守備に不安を抱えるチームにとっては安穏していられる事態でもない。これでエルゲラに何かあれば、どうにもならなくなるでしょう。そもそも、ディフェンダーを1人や2人欠いたからといってアタフタするような予算のチームでもないはずなのだが。

 一方、右サイド専門家のベッカムと、飛び出しに才ありの有能MFグティで構成していたセンターハーフには、ようやく助っ人が登場した。強面の削り屋にして意外な器用さも併せ持つグラベセンである。もちろん将来性を買っての投資ではなく即戦力。プレミア中位のエバートンの主力は、史上最強のチームでも堂々のスタメンを張れるという皮肉的な戦力補強である。とはいえ、かなり効果的な補強となるだろう。
 彼が入ったことで守備的ハーフをグラベセンの1枚で補完でき、より攻撃を重視した選手配置が可能となりそうだ。先の対マジョルカ戦ではグラベセンを中盤の底に置き、ベッカムを右サイド、ジダンを左に開かせて、中央はフィーゴとラウル、トップにロナウドを置いていました。試合の決まった後半はさらに攻撃陣の人数が増えたが、マジョルカが一人退場者を出したため参考になるような展開ではなかった。

 昨季より、ラウルの負担はかなり軽くなってはいる。しかし、まだまだゴール前での仕事には集中できそうにない。何せ彼しか前線でプレスを掛けられる人材がいないのだから、守備に関しては彼一人が孤軍奮闘の観あり。泰然自若の満腹坊やロナウドは言うに及ばず、ジダンは半径数メートル以上の範囲にはボールを追わず、フィーゴは基本的に後ろへは戻りたがらない。ベッカムはマラソン選手さながらよく走るが、彼のDFは『一発飛び込み→かわされて終わり』の典型なので、少しテクニカルな選手を前にするとザルもいいところである。

 何とか、あと1人くらいは中盤か前線で意欲的なプレス精神のある選手を入れたいところだが、そうなると、ただでさえ人員過剰気味のスター選手たちの誰かがまた1人ベンチに座ることになる。そちらの方がよほど悩みの種なのでだろう。昨夏、カマーチョが監督に就いた時は、これでどうにかまとまりが出るのかと期待したものだが、その監督の方が選手より先にサジを投げてしまって以降は見る影もない。
 現職のルシェンブルゴは、主力のブラジル人選手から信頼を得ている様子だが、果たして彼らとてベンチを義務付けられれば黙っているだろうか。『何となく親近感がある監督』程度のものなのでは、という疑念は晴れない。たとえば、あのロナウドに効果的なオフ・ザ・ボールの動きを実行させることのできる監督が存在するのであれば、ぜひ見てみたいものだ。

 ファーガソンが、以前ベッカムのセンターでの起用について「まだ早い。もう少し成長すれば任せることも考えている」というようなことを話していたが、それは端的に言えば、判断スピードが上がればということだった。『ボールを受ける・見る・蹴る』の三拍子が揃わなければ、ベッカムは正確なあのキックを繰り出せないのである。センターのポジションでそれだけの時間的余裕が与えられることは実に稀だ。ということは、器用な方ではないベッカムがセンターでできることと言えば、ごく限られてくる。その彼をセンターハーフで使うメリットは何だろうか。さしあたっては、スタミナだけというところか。
 そのセンター起用は、グラベセンがマドリッドに到着するまでベッカムのファーストチョイスだった。彼の変わりに入ったグラベセンは好選手ではあるが、ヴィエラのようなスーパーな人材ではない。やはりフロントは依然として、守備を担当する黒子役のプレーヤーには大金を払うつもりはないようだ。

 スター選手をかき集め出した当初、短い期間で契約していき、血流よく古い選手を切り、また新たな選手を獲得していくのかと予想されたレアル・マドリッドなのだが、辞めていくのは中堅の選手たちばかりでフィーゴやジダンは居残り組となった。
 また来季もスター選手の獲得を目論んでいるだろうことは疑いないが、そのうちにチョコレートの食べ過ぎで鼻血を出すようなことになりそうで仕方がない。予防のために、今から鼻に詰めておくティッシュがグラベセンなのか。どちらにしても、バルサのファンとすればレアル・マドリッドの凋落は酒の肴みたいなものなのだが。
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by meishow | 2005-01-25 19:10 | フットボール


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