名将気取り

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2005年 01月 22日

移籍市場としてのJ

 中田浩二のマルセイユ移籍の噂が流れて久しいが、移籍金額のところでもめているようである(参照)。選手本人そして相手先の監督の双方が相思相愛でも、金が絡むと難しくなる。しかし、欧州クラブに興味を抱かれたJ選手のこの手のウダウダは毎度のこと。「その選手に才能があるのはわかる。だが、欧州選手水準の金を払うわけにはいかない」ということか。

 20歳やそこらで旅立った中田英を別にすると、大概はいい年齢になってしまってからJ選手に移籍話が転がってきます。今回の中田浩もすでに25歳。同年代の小野伸二を比較するとわかりやすいが、小野くんの場合、欧州のどこかのチームからオファーがきても彼にはすでに欧州での実績(欧州側から見て判断材料になる情報)があるので、国籍を別にすれば、個々の能力や実績の値では他のEU国籍の選手たちと同等に評価することが可能です。しかし中田浩には能力があっても、それがない。

 つまるところ、J在籍選手の獲得は、欧州クラブ側からすればリスクのわりに値段が高いのでしょうね。単純な市場価値として。
 もし、アフリカ圏における若手有望選手の青田買いのように、彼らが大挙して日本人の未成年の選手たちを刈り取っていくとするならば、日本人の欧州クラブ在籍数の急激増加の可能性は広がるのかも知れないが、日本の若い選手はそれほど劣悪な経済的環境にない。稀に能力を見込まれてのオファーがあったとしても、現磐田の菊地選手のように現実的(?)な判断の結果、Jの有力クラブに入団する結論をとる場合が多いのだ。

 しかし、Jで実績を上げ経験を積んだ次のステップとして欧州クラブへの移籍を臨むと、もはや金額的に両者のギャップが埋まらないレベルになってしまっている。仮にJリーグがフランス1部リーグと大差のない水準にあったとしても、地球の裏側にいるJ選手は地理的なハンディを受け続けるのかも知れない。ボーダーレスのこの時代に、地理的な差が出て未来が閉ざされるのはナンセンスではあるが、東京・パリ間を3時間で飛ぶ旅客機でも登場しない限りは埋められないだろう。

 Jクラブが選手を送り出す場合、多くは二つのパターンに分かれる。
 ひとつは、「選手の未来のために希望を叶えて上げたい」とタダ同然の額でも移籍させてあげる場合。もうひとつは、クラブが選手の価値を正当に評価し、その価値から弾き出した金額を設定してその額で相手に譲渡しようと考える場合。

 今回の中田浩の場合は後者にあたるわけだが、クラブとしては至極当然な対応である。
 これまでのJクラブは全般的に前者の「送り出してあげる」スタイルが共通認識だった。だけども、これからはクラブも自立の意識を持っていくことになるだろうし、それは世界水準的な見方で捉えると当然な成り行きではあるが、市場価値として日本の選手が圧倒的に他を凌駕しない限りは、Jクラブと欧州との意識の格差は変わらないだろう。
 Jクラブ側からすれば「有能な選手を売って儲ける」、さらにその金で「可能性のある選手を雇う」という中堅クラブとしての経営方針が得られるわけで。マルセイユにしても、バルサ級のビッグクラブからすれば欧州の中堅に位置するのだから、バルサのようなチームに自チームの選手を売り渡す時にはそれなりの金額を提示する。(ベンチウォーマーの選手を無償でレンタルなんて話はあるだろうがレギュラー級ではありえまい)

 今後、J各クラブが自社の指針を固め、確固たる経営方針でもって欧州クラブ間との移籍話に臨んだ場合、両者の意識格差はどんどん広がっていくという皮肉な状況。これはJリーグ側としてもツライところだろう。Jの各クラブが組織として大人になろうとすればするほど、有望選手の海外移籍は難しくなっていくのだから。
 もっとも、Jの場合は国内間での能動的な移籍ですら最近ようやく軌道に乗り始めたばかりなのだから、J発の海外移籍が健康的に活性化されるのは、まだまだ先のことなのだろう。

 しかし、中田浩ニの移籍は実現して欲しい。鹿島との契約が切れ自由契約となった場合の移籍には、本人もサポーターも悲しいだろうし・・・。
 でもこれ、野球界のフリーエージェントではないが、選手の能動的な選択なのだと捉える風潮が出てきても良いと思う。それが欧州との意識格差のあるうちの、選手個人としての最も現実的な対処法であるのかも知れないのである。
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by meishow | 2005-01-22 14:13 | フットボール


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