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名将気取り

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2005年 03月 24日

バルサ戦線異常なし

 退場者を1人出しても、バルセロナの勢いを止めるまでには至らなかった。リーガ・エスパニョーラ第29節デポルティボ・ラコルーニャ対バルセロナ。敵地リアソールでの対戦を、バルサは「1-0」の勝利で終えた(参照)。勝利とは言え、内容は終始バルサペースで進んだわけではない。ホームのデポルは、押し込まれながらも再三攻勢に出ていた。前半に幾らもあったチャンスを決めていれば、ドロー以上の結果で終わっていたかも知れない。


「今日はサポーターの後押しによって素晴らしい雰囲気の中、試合をすることができた。そして、サポーターの声援にチームも応えて情熱的な試合が繰り広げられた。ルケやトリスタンの惜しいシュートが決まっていれば結果はもっと素敵なものになったのに……。
 バルセロナは戦術的にも精神的にも粘り強い姿を見せた。それはまさに未来の王者の姿と言えるものだった。そういうチームに勝つための最後の一歩が我々には足りなかったね」

 試合後イルレタはこう述べているが(参照)、デポルから見れば確かにそう悪い内容でもなかった。後半早々にマルケスが退場し、10人になったバルサはジュリに替えてピボーテのジェラールを投入。以後は概ねデポルが試合を支配したのである。特に終了間際は、左サイドに張ったフランからのクロスで再三チャンスを作った。だが1点が決まらない。珍しくバルサのラインが下がり過ぎていたことも影響したのだろうが、デポル攻撃陣が何度シュートを放ってもゴールネットを揺らすには至らない。運のなさを嘆くよりも、ここはピンチを凌ぎきったバルサの踏ん張りを称えるべきか。
 
 イルレタ自身が「予想していた通り、最少スコアで試合は決まった」と語っているように(参照)、接戦になることは試合前から予想できたことだった。それはマルケスの途中退場とは無論関係はなく、リーガ後半戦マウロ・シルバ出場時のデポルの戦いぶりを見て当然の目算だったと言える。この試合でも中盤以下の守備は比較的安定していた。攻めの形も悪くはなかった。バレロンのキープ力は相変わらず尋常ではなかったし、ルケとビクトールのサイド突破も見られた上、右サイドバックのスカローニのオーバーラップも光った。決定力の無さにはホゾを噛むしかないが、どうにもならないというような敗戦ではなかったことは救いだ。


「今日のように重要な試合に勝つことができたのは嬉しいが、我々は次の事を考えなくてはいけない。まだリーガは9試合も残されている。今日は後半丸々1人少ない試合になってしまったが、チーム全体が纏まって試合を進められたことが勝因だ」

 このライカールトのコメントからは、粘り強さを備えた自軍への信頼感が見てとれる。勝ち点を獲れるべき時に獲っておくという勝者のテーゼは、今のバルサに確実に息づいている。前節、致命的な黒星で勝ち点を落としたマドリッドの白いクラブとは大違いだ。ヘタフェ相手に土をつけられていては、トップ争いも勝負になりえない。今節はマラガに辛勝してこれ以上の格差を免れたものの、残り9試合の現時点で首位バルサとの勝ち点差は11。その数字は見た目以上に重い。4月に迎えるクラシコでの直接対決で仮にレアル・マドリッドが勝利したとしても、もはや大勢に影響は出ないのではないかと思わせるほどだ。

 バルセロナの現時点での失点数は18。ダントツの最小失点である。ピンチを創出させない高ライン設定での守備システムが思いのほか功を奏している。クライフの持論は、DFラインの位置取りが味方ゴールラインから60メートルに設定されることだが、現在のバルサのライン取りはこれに勝る劣らず高い。
 ちなみに、総得点の方も29試合を終えた時点で54。こちらも群を抜いてのトップである。総得点・総失点ともに一番の成績を叩き出していては、リーガ1位となるのも当然のことだろう。

 もはや優勝は決まった観がある。チャンピオンズ・リーグでの意外な早期敗退が、今後は良い意味で作用していくだろう。今節では元気なのはジュリくらいのものだったが、主力の体調面はこれから徐々に上向きになっていくはずだ。そうなるとバルサの進撃を止めるのはますます不可能に近いものになる。


1 バルセロナ 68
2 R・マドリッド 57
3 ベティス 48
4 ビリャレアル 47
5 バレンシア 46
6 エスパニョール 46
7 セビーリャ 46
8 A・マドリッド 43
9 デポルティボ 42
10 A・ビルバオ 41
11 サラゴサ 39

 29節終了時点での上位11チームの順位である。1位バルサ、2位レアル・マドリッドは動かないとしても、3位以下の戦いには面白味が残っている。3位ベティスから7位セビーリャまでは勝ち点差が僅かに。8位のアトレティコ・マドリッドにして勝ち点43であることを踏まえれば、11位のサラゴサ辺りまでが上位に食い込んでくる可能性を秘めていると言って良い。今後にまだまだ思いも寄らぬ展開が見られるかも知れない。

 バルサ戦線異常なし。レアル・マドリッドは白旗同然の無気力行進。いよいよ栄冠は近付きつつある。今シーズン開幕前に「もしかすると、もしかする」と半信半疑で優勝を期待したバルセロニスタに遂に歓喜は訪れるのか。残すところあと9試合である。最終節までに決まることを念頭に入れると、さらに期間は短くなる。
 言い換えれば、優勝までのカウントダウンを味わえるのも、あと僅かな期間であるに過ぎない。腑に落ちなかったファン・ハール時代の優勝から、数シーズンに渡った長い冬を堪え忍んだバルセロニスタにしてみれば、この指折り時期を噛み締めて過ごすのもまた格別だろう。

by meishow | 2005-03-24 20:10 | フットボール


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