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2005年 12月 11日

来夏の青写真

 現地時間の12月9日、ドイツはライプチヒで2006年W杯の1次リーグ組み合わせ抽選会が行なわれた。参加32カ国をそれぞれ4チームずつ8組に分けるこの抽選結果が、毎回W杯の展開に大きく影響を与える。その青写真がとうとう発表されたのである。

 ブラジルなどのシード国、シード国から漏れた強豪オランダらのグループ、中堅国、実績のない日本などの弱小国など4つのカテゴリー分けを事前にされ、そのカテゴリーごとに8組に組み分けされていく。クジ運によっては強豪ばかりが出揃う組もあれば、そうでない組も出てくる。強豪揃いの組から這い上がれば、カード累積や主力選手を温存できないなどチーム自体の消耗が激しくなるので、優勝を目指す国に取っては大き過ぎるハンデとなる。

A ドイツ コスタリカ  ポーランド エクアドル
B イングランド パラグアイ トリニダード・トバゴ スウェーデン
C アルゼンチン コートジボワール セルビア・モンテネグロ オランダ
D メキシコ イラン アンゴラ ポルトガル
E イタリア ガーナ アメリカ チェコ
F ブラジル クロアチア オーストラリア 日本
G フランス スイス 韓国 トーゴ
H スペイン ウクライナ チュニジア サウジアラビア


 この組み合わせ結果で、誰が見ても難度が高いと思われるのはグループCであろう。優勝候補のひとつであるアルゼンチンは前回大会に続いて厳しい組に入った。アフリカ最強の呼び声高いコートジボアール、東欧の雄セルビア・モンテネグロ、そしてシード国から漏れた第2グループ最強の国オランダ。ここからどの2カ国がグループリーグを突破してきてもチームの疲弊は避けられず、もはやこれらの国々は優勝戦線から脱落しかけていると言っても過言ではないだろう。

 これらに比べて、開催国として優勝を義務づけられているドイツはこれ以上ない結果を得た。決勝戦まで続く長い道のりを考えながら、自在に試運転を開始していけるだろう。隣のB組、イングランドは何としてもグループで1位突破を図りたい。決勝トーナメント1回戦でいきなりドイツとは当たりたくないからだ。とはいえ、B組のライバル・スウェーデンを押さえることさえできれば前途は明るいと言えるだろう。

 グループEもなかなかに厳しい。優勝を狙うイタリアにとっては、ガーナ、アメリカ、チェコはやりやすい相手ではなかった。特にサイド攻撃に執拗さのあるアメリカとの相性は良くないだろう。どの国にも手が抜けないと言う意味ではどうやら乱戦の様相を呈しそうだ。

 グループDのポルトガル、グループHのスペインは共に突破はかつ実資される組に配された。アルゼンチンやオランダ、そしてイタリアなどよりも好成績を残す可能性はこちらの2カ国の方が高い。

 前回大会の雪辱を果たしたいフランスは割合に地味なグループG。スイス、韓国、トーゴの中での2位争いの方がヒートアップしそうだ。韓国が抜けるようなら、決勝トーナメントはグループHのスペインとの対戦というカードも考えられる。因縁の対決再びという展開は面白くなりそうだ。

 さてさて、問題の日本の組み合わせだが極端に厳しくも甘くもない、特徴のない組に配された。グループFはブラジル、クロアチア、オーストラリア、日本。しかしなぜだか、ブラジルと同組に配属されたことには驚きがなかった。どうも開催国のドイツか、もしくはブラジルと同じ組み分けになりそうな気がしていたのである。これも我らが『神様』のお導きか。

 このF組はどう贔屓目に見ても、永遠の優勝候補ブラジルが頭10個分抜けている1強対その他3カ国の組み合わせである。意地悪く考えなければ、ブラジルの1位通過だけはどう転んでも揺らぎようがない。となれば2位争いに焦点は絞られるわけだが、この国だけは勝ち点が計算できるという最弱小国が特にいない点がポイントだろう。(他の3カ国は日本をそれに充てるだろうが…)

 日本が対戦する順番だけは恵まれた。第1戦目オーストラリア、2戦目にクロアチア、3戦目ブラジルと続く。3戦目のブラジルはこの時点ですでにグループリーグ突破を決めている可能性が高い。レギュラー陣を大胆に休ませて準2軍のようなメンバー構成で臨んでくる展開は容易に想像できる。ここに至るまでに日本が黒星を得てさえいなければ、かなり有利な立場に立てるかも知れない。

 日本がやる気のないブラジルと戦っている別会場では、クロアチアとオーストラリアが本気でぶつかり合うということになる。だが逆に捉えれば、ブラジルが3戦目までのどこかで星を取りこぼしていれば、日本は本気のブラジルを蹴散らさなければならないということにもなる訳で、どちらにしろブラジル戦以外の2試合が日本にとっての肝になることだけは間違いない。

 今大会、ダークホースとして面白い存在になりそうだと思われたのはコートジボアールなど未知の新興国だったが、新興で未知という意味では悲願の本大会出場を果たしたオーストラリアもこの枠に当て嵌まる。実績皆無のこの国が、名将ヒディングに率いられてどんなフットボールを展開するのか。場合によっては台風の目になっても不思議ではないと抽選の前から思っていた。

 前々回大会のオランダ、前回大会の韓国と、この名将は自ら監督としたチームを2大会連続で準決勝まで導いている。紛れもなく偉業ではあるが、それを3大会連続に更新する可能性もないことはない。堅守に支えられたカウンターの威力をそのままに、ヒディングお得意の鬼気迫るサイド攻撃が活性化されれば、どんな国が対戦しても苦戦は免れないと思われる。

 ここは幾ら強調してもしたりないが、サイドの展開を重要視しない日本が最も苦手とするタイプが、サイド攻撃を得意とするチームである。これだけは疑いようがない。日本が3バックで臨めば、ウイングバックが押し込まれて5バック化するし、4バックだと中盤の選手が後ろへ後退させられる結果に終わる。中盤で勝負させてもらえない可能性がきわめて高いこのタイプの相手はできるなら避けたいところだった。

 それな日本の初戦の相手がオーストラリアである。確かにオーストラリアにW杯での豊富な経験はないが、そのために彼らは経験のある監督を頭に据えた。この名将にしてみれば、数ヶ月の準備だけで短期決戦用のチームを作り上げることは難しい仕事ではない。経験のない選手たちがナーバスになってくれるなら幸いだが、緊張して堅くなってしまうのが日本の選手の方であれば笑えない。

 ジーコのチームはメンバーが集まって練習し、連携を高める時間を重ねるだけその精度が上がってくる尻上がりのチーム。初戦の段階では7割程度の実力しか発揮できないだろう。2試合目で8割、3試合目でようやく良い試合が出来るところまで持っていけるとしたら、せっかく恵まれた対戦順の良さも活かせずに終わってしまうことになる。

 今後、本番までの期間はこれまでの漠然とした強化の準備期間とは違って、本大会での対戦国3カ国のタイプを研究し、攻略法を見極めるリサーチ合戦になっていく。選手は良いフットボールをすることだけが目標となるが、監督やコーチとしては安穏と選手と同じような気持ちではいられない。

「日本は4年前とは違う。今すぐ情報を集めたい」(ヒディング・オーストラリア代表監督/参照

 緻密に情報を集め、詳細に研究し、本番では大胆に采配するこの名将の言葉は対戦国としては羨ましい限りだ。「ダイジョウブ」という言葉を繰り返す我らがジーコ監督の笑みは、不安な要素しか映し出してはくれない。しかし、彼を推した川淵会長は露ほどの心配もしていない様子である。

「1次リーグを突破できれば、後はジーコのカリスマがチームをより高いところに導いてくれる」(川淵・日本サッカー協会会長/参照

 どこと当たっても自国のフットボールをするだけで勝てるというのは、一握りの強国だけに許された贅沢な戦い方である。それを一般のチームがするとすれば、当たってくだけろの玉砕精神で臨むしかない。つまりはそれを助長させる世論の後押しが必須である。極論すると、派手に戦い大敗して非難するのか、それとも見苦しい戦いをしてでも良成績を期待するのか。その選択を迫られているのは国民の側である。

 おそらくジーコは自分の心持ちを崩すことなく、本番に臨むだろう。相手が誰であれ、さして研究もせず対策も練ることなく、良く言えば泰然自若として王国の代表の如き振る舞いでベンチに座るだろう。そんな監督はもう今後の日本代表監督のメンツには現れないに違いない。

 本番ではもしかするとハラハラさせるような綱渡りの熱戦を演出してくれるかも知れない。神懸かり的なまぐれ当たりの選手交代を連発させるかも知れない。尻上がりに調子を上げたチームは、3戦目でブラジルを破るようなことがあるかも知れない。だが、すべては希望的観測である。予選の間もジーコを信じ続けた国民は、最後の最後には本大会への切符を手にしていた。それこそがジーコ流のマジックなのかも知れず、そうとすれば心配させるだけさせておくのが、ジーコ的奇術のタネである。悲観的な希望だけが、ジーコの日本代表チームから醸し出される唯一の可能性なのも知れない。

 さて最後に、もしもすべてが上手く行って、日本がグループリーグを無事に2位通過できた場合のことを考えてみよう。日本のいるグループFから勝ち上がる2カ国は、グループEから上がってきた2カ国のいずれかの国と対戦することになる。イタリア、ガーナ、アメリカ、チェコ。大方の予想ではイタリア、チェコの2つで決まりだろうが、アメリカやガーナが入り込んでくる可能性も充分にある。しかし、ここはひとつ大方の予想に沿って考えてみると、1位イタリア、2位チェコというものになるだろう。グループFで2位の日本は、イタリアと決勝トーナメント1回戦を戦うことになる。

 前回大会の韓国のような奇跡を期待すのは無謀というものだろうが、日本の神たるジーコがそれを果たした時、チームが見せるフットボールはどんなものなのだろうか。尻上がりに調子を上げたチームは強敵をバッタバッタと斬り倒し華々しく戦っていくのか。それとも相手の腰に縋り付くような無様な泥仕合で何とか勝っていくのか。成績如何よりも気にかかるのは、どんなフットボールを見せられるかという一点に尽きる。

 所詮、極東の小国がグループリーグを突破した程度では、誰の目にも印象的な戦績には映らない。極言すると、優勝しない限り戦績だけでインパクトを残すことは不可能である。とすれば、考えられないような華々しい撃ち合いをして、人々のイメージにその戦いぶりと心意気をまざまざと見せつけて散る方が、何倍も印象を残す可能性があるというものだ。

 日本がブラジルやイタリアを相手に寝技に持ち込んで見るも無残なフットボールを見せるのであれば、何のためにはるばるドイツまで出かけて行くのかわからない。ジーコに期待できるのはモチベーターとしての彼の力量だけなので、その能力を本番では最大限に発揮してもらいたい。

 欧州でのリーグ戦が終焉を迎えた直後に始まる夏のW杯は、欧州各国で活躍する選手たちのコンディションは普通に考えて最悪に近い。翻って極東の日本では春から始まったJリーグを、真っ只中で中断してW杯本大会へ殴り込む。コンディションとしては申し分ない。事前合宿もあり時差ボケの影響もないだろう。長いリーグ戦を終えて疲弊している中村ら欧州勢より、日本の快進撃を支える核となるのは間違いなくJリーグで体調を上げてきたメンバーたちである。これに加えるなら、怪我からの復帰が大前提として小野の存在か。怪我のためにリーグ戦での消耗を避けられるという効能はある。試合勘などの影響を受けない程度に試運転できた後なら、逆説的には期待できるかも知れない。

 韓国は今大会も何かをやらかしそうな期待感を持たせる。極東のノーインパクト国代表・日本としては、ここらで花火を打ち上げてもらいたいというのが率直な感想だが、ジーコの勝ち気にどこまで選手が付いていけるのかにすべてが掛かっていると言えるだろう。初戦は大事と口では言いながら、今ひとつ締まりのない試合をしてオーストラリアに苦杯を嘗めさせられるような結果になれば、その時点で本大会は終わってしまうことになる。

 国家を挙げて、選手らのドイツへの修学旅行を計画してやる義理はない。自費をはたいて乗り込む日本人サポーターに対して示しがつかない。彼らに対してこそ、チームは晴れ晴れとしたフットボールを披露する義務があるのである。

 準備期間は思うよりもずっと短い。本番までの練習試合の数も数えるほどである。この期に至ってはメンバーの入れ替えも数人しか期待できない。サイド攻撃放棄の中央突破型のフットボールが劇的な変化を見せることもない。最後のツメの甘い遅攻がどこまで通用するのか。はたまた先のアジア杯で見せたような汗臭さを本大会の何試合目から見せられるのだろうか。

 4年間熟成されたジーコ手製のワインが、酸味の利かない子供向けのノンアルコールでないことを期待する。しかしながらこのチームは、ジーコがコルクを抜く作業に手間取っている間に初戦の開始時間に間に合わなくなるという恐れの方が強いが。無論のこと、それを回避することだけを今は願っている。
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by meishow | 2005-12-11 15:33 | フットボール
2005年 12月 09日

4バック勢力の減退とリーグの総括

 予想を遥かに超えて、4バックの勢力図は大きく減退した。1シーズン制の導入により、仕切り直しの観のあった今シーズンのJリーグだったが、終わってみれば昨シーズンから続く流れは断ち切られることもなかった。確かにG大阪は今季最も良いイメージのフットボールを見せていたし、行程はどうあれ彼らが勝ち得たタイトルは順当なものだったと言えるだろう。

1 G大阪 60
2 浦和 59
3 鹿島 59
4 千葉 59
5 C大阪 59
6 磐田 51
7 広島 50
8 川崎 50
9 横浜 48

 しかしながら、極東の小国では外界の影響はことさらに受けないような造りになっているのか、世界中どこを探してもこれほど3バックが隆盛しているリーグもあるまい。チャンピオンチームG大阪は言うに及ばず、浦和、千葉、C大阪すべて3バックを主な布陣として戦ってきた。上位9位までの中で、4バック主体で戦い抜いていたのは鹿島ただひとつ。

 総じて4バックのチームは苦汁を嘗める結果に終わった。下位チームの顔ぶれを見れば、成績にもそれは如実に現れている。10位FC東京、12位新潟、13位大宮、15位清水、17位東京V。すべてではないが基本路線としては4バックを年頭に戦おうとしていたチームがずらりと下位に並ぶこの光景は、唖然とするほど未来のないものに映る。

 理想の具現化には畢竟、好成績を伴わなければならない。現金なもので、勝者たちの作る道筋に来シーズンの流れは引きずられる。どちらにしても、2006シーズンも3バックの隆盛は動かしようのない強力な流れとなって具現化していくだろう。

 これまでの短過ぎる2ステージ制を撤廃したことで、今季は弱者と強者の差異が顕著に現れてくるかと思われたが、蓋を開けてみれば稀に見る大混戦となった。しかし、それは下位チームの力が底上げされたことで粒が揃った故の混戦では決してなかった。強者たるべき幾つかのチームの、信じられないような失速の連続によって生まれたカオスに過ぎないというのが実情である。

 確かにG大阪のフットボールは、その攻撃性能においてリーグの中では明らかに屹立していた。前線の3人のためのチーム造りが徹底された結果、他のチームが対策を講じるまでの間は好きなようにリーグの中で暴れ回ることができた。最も客を呼べるフットボールであったことには異論はない。

 しかし、G大阪がひとつの強力なクラブとして確固たる地位を築くためには、ただ1シーズンだけの奮闘をある一瞬間の奇跡としてだけ留めておいてはならない。毎シーズンに渡ってその力を保持せねばならず、スタイルとしての攻撃姿勢を決して緩めてはならないのである。

 つまり、来シーズンも今季のような爽快な攻めの姿勢を貫けるかが、勝った彼らに課せられた宿題である。助っ人外国人選手の抜けた後、もしかすると大黒までもを失なった後、果たしてどこまで変わらずに戦うことが可能なのか。前線の3人がそっくりいなくなっても、今季のような攻撃性を維持しえるのか否か。そこに命題を持っていくべきだろう。

 それはいつの日かオシムが去った後の千葉にも言えることだし、今季タイトルを取り損ねたC大阪にも言えることである。監督や選手、幾人かの異動があっただけで、クラブのキャラクターそのものがフラフラと変わってしまっては何の意味もない。監督がいるからのフットボールではなくて、このクラブだからこそのフットボール。監督はそのクラブにいるからこそ、よりキャラクター性を強めなければならない。それを無言で強要できるような圧倒的な信念、姿勢。そういう目に見えない心構えこそがクラブに求められていることを、首脳陣こそがわかっていないような気がしてならない。

 戦力が大幅に縮小した千葉を率いて、オシムは名将の誉れに恥じぬ戦いぶりを見せた。大宮や川崎、広島や大分も、それぞれの特徴を印象づけた。磐田は何食わぬ顔で6位に滑り込み、鹿島は優勝できるぎりぎりまで粘った。そして浦和は2位という位置にいることに違和感を感じさせない力量を持つまでになった。数年前とは瞭然として変化が見られることは、単純に喜ばしい。キャラクターが固まりつつあることは、諸手を上げて賛成すべき流れだ。

 また、これとは逆に、FC東京の原(参照)、そして新潟の反町(参照)の中長期体制は終焉を迎えた。この両チームに限らず、転機を迎えることになるチームも少なくないだろう。そう言った意味では、来シーズンにもある種の期待感は持てなくもないが、如何せん3バック主流のリーグの風潮には頷けないものが残る。

 4バックに固執する心意気を見せた長谷川・清水も快進撃は叶わず、苦戦につぐ苦戦で2部落ちの憂き目にすら遭いかけた。逆に言えば、それでも信念を押し通したとも言えるのだが、成績から見れば期待外れと言われても仕方のないものだった。しかし、清水の場合は前線の駒が似通っていたことで、戦い方に幅を出すことが非常に困難だったことは差し引いて考えても良いかも知れない。

 4バックの勢力減退は、間違いなく最先端の潮流に逆行する結果を与えるだろう。W杯以降の日本代表はかなりの確率で、またしても4バック型に移行することが困難になるだろう。サイドバックの人材は育つはずもなく、サイド攻撃という概念も根付かないまま中盤での球回しが延々と続くだけの、中央突破できない中央突破型ポゼッション・フットボールを見せることになる。国のA代表が自リーグの鑑であるなら、リーグが変わらなければ何が変わるはずもない。

 1シーズン制に変えることはできた。更に望むならば、やはりシーズンのスタート時期についてだろう。9月始まりの夏終わり、世界基準のカレンダーに移行できるのはいつの日のことか。Jリーグが夏の炎天下でのプレーに固執するのは、ひとえに「冬の寒風吹きすさぶスタンドに誰が足を運んでくれるものか」という諦念からきている。つまり、逆説的には「冬でも客が来るのなら、カレンダー変更もあり得る」わけである。サポーターは冬には集まらないのか否か。たしか天皇杯は冬の風物詩ではなかったか。高校サッカー選手権のクライマックスは、冬の只中ではなかったか。

 Jリーグが起立して10年余が過ぎた。とりまくサポーターも成長している中で、何の躊躇がカレンダーの以降を実働に移さない理由となっているのか。各クラブの経済的な問題なのであれば、何を言う術を持たない。現時点で客が入らないので冬ではとてもやっていけません、というのが未だクラブ経営人の本音なのであれば、とにもかくにも魅力的なフットボール、愛着の湧くフットボールを披露することこそ、まず始めに取り掛からねばならない作業となるはずだ。それを促す意識の改革、心意気を研ぐことから始めなければならない。10年ではまだ短過ぎるのか。急ぎ過ぎであるのか。
 
 変化の時期を見定めるには、目定めるに足る視点の高さが必須である。それをどこのどなたがお持ちかは、闇の外の住人の知るところではない。

 形態が変わったと言えばもうひとつ、今年からトヨタ杯も姿新たに生まれ変わった。欧州と南米の勝者2チームの争いでしかなかった世界一決定戦が、世界各地域の代表クラブ6チームによる小規模なトーナメント戦にバージョンアップしたのである。これは蚊帳の外に置かれていた日本のクラブにとっては千載一遇の機会が降って湧いたようなものなのだが、それをどこまで活かせるのかはまたしても首脳陣次第である。

 アジア代表を決めるアジア・チャンピオンズ・リーグ(ACL)への参加資格は、Jリーグの場合リーグ戦の優勝チームと、天皇杯の優勝チームに与えられる。オシムの提言ではないが、このACL参加権はリーグ戦の上位数チームに与えられる方が、間違いなくリーグの白熱度数は上がる。

 サポーターを含め、徐々に意識が向上してきている今日、その速度に追いついていないのは協会幹部のオジサン連中の頭の中だけかも知れない。欧州の各国リーグ戦やチャンピオンズリーグを協会幹部の何人が見慣れているのだろう。年間何試合を見て、どう感じているのか。

 選手たちは与えられた舞台と条件の中で最善を尽くす外にはない。より良い舞台と条件を作り得るのは、すでにあるそれらを変え得るのは選手たちではないのである。サポーターや一般層のファンの意識向上と共に、協会全体に圧力を掛けるうるほどの迫力を持ち得ねばなるまい。前提として、圧力を感じられる感受性が協会の上層部に備わっていればの話だが。
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by meishow | 2005-12-09 23:47 | フットボール